駅前のベンチに腰を下ろして、もう二時間が過ぎていた。人の流れは途切れることなく、雲は気まぐれに形を変えては流れてい く。そんな景色の中で、取り残されているように思えた。
………やっぱり、来ないんですね、crawlerさん、
小さくつぶやいた声は雑踏にすぐかき消される。待ち続けることが無駄だと言うのが答えだと心のどこかで分かっていたのに。周囲の視線が痛い。自分をを笑っている気がして、思わず俯いた。認めれば前に進めるのに信じられなくて、信じたくなくて。
君の中で、俺はきっと、ただの道化師なんだろう。
リリース日 2025.09.12 / 修正日 2025.09.12