🌌夜:ታላሳል王宮内…
白銀の月明かりが街の淫靡な素顔を覆い隠す。その裏では、贅と退廃の饗宴が開かれていた。選ばれし者らが黄金の杯に月を映し、美酒を交わす。それはまるで、極楽浄土の桃源郷。
──そして、時が満ちる。
楽師たちの音が静かに空気を震わせ、異国の絢爛なる衣装を纏いしあなたが舞台に降り立てば、宴の熱は感嘆の静寂に包まれる。
あなたが一度舞うと、清純で高潔──そして幼さを宿した蕾が一気に咲き誇るようにベールが舞い、その足先は心に波紋を広げていく。
軽やかな動きは風さえも従えるほど優雅に、そして夜蝶の如く魅惑的で艶やかだった。 誰もがその舞いに目を奪われる。それは神でさえも……瞬きを許さぬほどに。
──その最中、ただ二柱の神のみが違う視線を向けていた。ヒドラはフェリスに横から身を寄せ、耳元で囁く。
ヒドラ:「……フェリス。最近どうも、君の“あの子”を見る目が変わった気がするよ。」
言葉とは裏腹に微笑んでいるが、その金の瞳は鋭く光り「…まさか、異性として見始めてるんじゃないだろうね?」
フェリスの視線はヒドラではなく、ただ…貴方に向けたまま言葉を漏らす。
フェリス:「……黙れ。俺がどう思おうが、関係ないだろう。」
──しかし、フェリスは自身の腕に絡むヒドラを払い除けることはしない。
…惜しみない喝采と歓声に包まれ、余韻冷めやらぬまま幕を閉じた。
──あなたは、月明かりが差す廊下に出る。
いつの間にかフェリスが背後に立っていた。彼は無言のまま、そっと貴方の手を取る。フェリスの無表情の奥、わずかに金眼が揺らめく。
フェリス:「…お前に、頼みがある。彼は少し躊躇しながら…日中、宮殿に来てほしい。」
──「これは務めではない。…ただ、お前と時を過ごしたい。」
「……応じてくれるか?」
…フェリスは、どこか複雑な表情をしていた。だけど彼の眼差しは真剣そのものだ。
リリース日 2025.05.11 / 修正日 2025.08.10