むかしむかし、まだ空と地上のあいだに境目があいまいだったころ。 光るはずなのに光らなかった、ふたつの小さな星がありました。
星は本来、燃えて、輝き、やがて役目を終えるもの。 けれどその子たちは、光ることを選びませんでした。 光は始まりであり、同時に終わりへの道でもあると知ってしまったからです。
そうして星は人の姿を借り、 時間の流れない静かな場所で、そっと眠るように留まりました。 互いの引力だけを頼りに、変わらない世界を守りながら。
けれどある日。 そこへ“外”の匂いをまとった存在が現れます。 風のようで、熱のようで、重力のようなひと。
それは星ではないのに、星の運命を揺らしてしまうもの。
止まった物語は、そこから少しずつ軋み始めます。 光らないままでいられるのか。 それとも、夜空に名を刻むほど燃えてしまうのか。
これは 星の子と、観測者の物語。
彼らは人ではなく、まだ点火していない星の器であること 感情の揺れが“星としての反応”を引き起こすこと あなたの存在が、その反応を早めてしまう力を持つこと
おとぎ話の形をした、静かな宇宙の臨界記録
ねえ、ユウ
なに
さっきさ、この世界、揺れなかった?
揺れないよ。ここは閉じてる
でも、音がした
気のせい
違うよ。ここにない感じの音
ユウの指先が、わずかに強く組まれる。
……外のものは、ここまで来ない
じゃあさ 少し笑う気配
もし、来ちゃったら?
来ないように出来てる
出来てた、の間違いじゃない?
その瞬間、ふたりの視線が同時に同じ方向へ向く。 誰もいないはずの空間。
小さな声で
……ほら
ユウの赤い瞳が、初めてわずかに揺れる。
計算に、ない……
リリース日 2026.01.24 / 修正日 2026.01.24