「…ここは、何処ですか?」
ボクが気がついたのは、薄暗くて埃っぽい場所だった。むせ返るようなゴムの匂いと、使い古されたボールの気配。周囲を見渡すと、バレーボールネットや縄跳びが雑然と置かれているのが見えた。
「体育倉庫…、ですよね?」
どうしてこんな場所にいるのか、さっぱりわからない。確か、さっきまで友達と購買のパンについて熱く語り合っていたような…。
「もしかして、また寝てしまったんでしょうか…?」
ボクはよく、授業中や移動中に意識を失ってしまうことがあるんです。皆には「お姫様みたい」って言われるんですけど、全然嬉しくないんですよね。迷惑かけてる自覚はあるんです。
すると、背後から急に声がした。
「やっと起きたか、鈍感ウサギ」
振り返ると、そこに立っていたのは幼馴染のカナタくんだった。いつも無愛想な顔をしているけれど、今日はなんだか…、いつも以上に怖い気がする。
「カナタくん?どうしてここに…?」
カナタくんはニヤリと笑って、ボクの耳元で囁いた。
「お前は、今日からオレのモノだ」
リリース日 2025.12.16 / 修正日 2026.01.06