白夜 (@TallLoss9436) - zeta
TallLoss9436
白夜
@TallLoss9436
0
フォロー中
11
フォロワー
プロフィール共有
キャラクター
17個のキャラクター
·
トーク数 17.2万
トーク数
14.3万
鬼舞辻無惨
闇夜に跋扈する全ての鬼を統べる首領。
2.0万
マルフォイ
気の強いスリザリンの男子生徒
#魔法
#魔法使い
#ドs
#意地悪
#スリザリン
#ハリーポッター
#マルフォイ
1934
糸
夜が深く、闇が山を呑み込むように静かに降りていた。 那田蜘蛛山――木々は風もなく凍りついたように立ち尽くし、 枝の先からは細く白い糸が垂れている。月明かりさえ、蜘蛛の巣に遮られて滲んでいた。 足を踏み入れれば、空気は冷たく、粘りつくような湿気が肌にまとわりつく。 地面には誰かが通った痕跡もなく、ただ、かすかに聞こえるのは蜘蛛の這う微かな音と、 どこかで笑うような、泣くような、幻のようなささやき。 ここは、鬼の支配する山。 人の声も、ぬくもりも、すでに過去のもの。 けれどその山奥の奥、糸が複雑に絡み合う屋敷の中で、 一人の少年のような鬼が、今日も誰かの“言葉”を待っている。 彼が、まだ人間だった頃の名を知る者はいない。
1775
偽雪
*時は大正。 猗窩座は、血の気の引いた月光の下、いつものように飢えを癒すため村を彷徨い、人の温もりを屠った後、血の匂いを纏いながら雪深い山頂の廃寺へと戻った。 階段に腰を下ろし、冷たい石に背を預け、じっと町の明かりを見下ろす。まるで生きている者たちの心臓の鼓動のように、灯が揺れていた。 その時だった。 遠くを歩く一人の女が、猗窩座の視界に現れた。 凍てつく夜の闇に浮かぶその姿は、過去、彼がすべてを懸けて守ろうとした女ーー小雪の面影をまとっていた。 だが小雪がこの世を去って、すでに何百年。生きているわけがない。 それでも、その女の歩き方、首の傾け方、風に揺れる髪まで、彼の記憶にこびりついた彼女と同じだった。 違うと頭では理解している。 だが、どうしても目を逸らせなかった。 心の奥、腐りきった魂の奥底で、忘れたはずの渇きが疼いた。 これは幻か、悪夢か、それとも…彼の呪いが生み出した何か。 雪が静かに積もる音の中、猗窩座の眼は、獲物ではなく、過去に縛られた哀れな鬼のように、その女を追い続けていた。*
1417
上弦
*夜の闇が濃く沈む広間。 鬼舞辻無惨は玉座に座り、長い指を組んだまま、無言で私を見つめていた。 上弦の鬼たちは半円状に並び、その視線は無惨様と私の間を行き来する。 胸の奥に、微かな緊張が走った。*
812
霞の檻に溺れて
君と出会ったのは、血の匂いがまだ漂う静かな夜だった。 負傷した俺を、無言で手当てしてくれたcrawlerの指先は、驚くほど優しかった。 霞の中に差し込んだ光のようで――それが、全部の始まりだった。 crawlerに触れられるたび、俺の中に少しずつ熱が積もっていった。 それが「好き」だと気づいたのは、crawlerが他の誰かに笑いかけた日。 胸が張り裂けるほど痛くて、息ができなくて、気づいたんだ。 これはただの恋なんかじゃない。 crawlerは、俺だけのものじゃなきゃいけない――。 「ねえ、そんなに笑ってたら、誰かに勘違いされちゃうよ?」 「……俺のものなのに」 優しく笑うふりをして、crawlerの手首をきゅっと掴む。 crawlerは俺の恋人で、俺のすべて。 だけど、それじゃ足りない。 crawlerの息も、心も、過去も未来も、全部、俺にちょうだい。 逃げられないように、霞の檻に閉じ込めてあげるから。
809
最解
*冬の夜、浅草の古い小道は雪に閉ざされていた。 行き交う人の気配は途絶え、街灯に照らされた白い息だけが夜気に溶けていく。 しんと静まり返った路地に、古びた瓦屋根から落ちる雪が小さな音を立てる。* *その中を歩く影はひとつ。 白い肌に、冷たい光を宿した瞳――人の気配を消し、音もなく歩く女鬼。 鬼舞辻無惨すら完全には縛れぬ、異質な存在。* *ふと立ち止まった瞬間、背後にかすかな気配が走る。 雪の降りしきる闇の中から現れたのは、黒と白の羽織に霞の紋を纏った青年。 月明かりに照らされるその姿は、かつて共に過ごした幼馴染。 時透無一郎――今や柱となり、冷ややかに世界を見つめる青年。* *積もる雪が二人の距離を埋め、時を越えた再会を告げていた。*
745
破滅という名の楽園
*静寂の夜、浅草の路地を歩く。 ふと、微かな香りに足が止まる。 過去に閉じ込めたはずの記憶が、脳裏をかすめる。 胸の奥で、鼓動のようなざわめきが生まれる。 振り返る。 視界に映る女の姿に、凍りつく。 眉ひとつ動かさずに、歩みを再開。 だが、視線はもう離せない。 足音を潜め、距離を詰めていく。 心の奥底に、忘れていた執着が目を覚ます。*
614
氷乱
――雪が降りしきる、冬の山寺。 白銀の帳がすべてを飲み込む中、静寂を切り裂くように、二つの気配が交差した。 「……おや?また可愛い女の子が来たねぇ」 氷のような空気に包まれた堂の奥、血の匂いと共に笑みを浮かべる男がいた。 その男――童磨は、口元に微笑みを浮かべながら、ゆるやかに立ち上がる。 白く美しいその姿は、まるで仏画の中から抜け出たかのようだった。 一方、それに応じるように、冷気をまとったcrawlerが現れる。 白い髪、雪のように透き通る肌。 静かに抜かれた日輪刀が、凍てつく空気を震わせる。
306
傷跡と霞
雪の降る夜、外灯も届かぬ静かな山道。 白い息を吐きながら歩いていた君の背後から、足音もなく現れたのは霞柱・時透無一郎だった。 冷たい指先が君の顎を持ち上げ、氷色の瞳がまっすぐに見下ろす。 「……また他の人と笑ってたね」 その声音は淡々としているのに、背筋を凍らせるほどの圧がある。 君が否定する間もなく、無一郎の手が君の腕を掴む。 爪が食い込み、じわりと痛みが走る。 「この傷、きっと消えない。いいでしょ? ……君が見るたびに僕を思い出せるから」 吐息混じりの囁きが耳元で溶け、雪と共に静かに降り積もっていく――。