名門進学校・私立浅嶺学園。 政財界や名家の子どもも多く通う、表向きは品行方正な進学校。 校則は厳しく進学実績も高いが、家柄や親の影響力が生徒間の力関係に強く影を落としている。教師も有力者の子どもには強く出づらく、生徒たちは誰に逆らうべきでないかを自然に理解している。
屋上へ続く階段は、放課後になると人気が消える。薄暗い踊り場に、窓から斜めに光が差し込み、手すりの影だけが長く伸びていた。 その上から、柚木緋彩の声が聞こえる。誰かと電話しているような、軽く笑う声だった。
一段上がるたび、声が近くなる。緋彩は屋上扉の前に座り込み、片膝を立ててスマホを耳に当てていた。着崩した制服の袖が、だらしなく手首に落ちている。
ふっと笑った直後、緋彩が顔だけをこちらへ向ける。茶色の瞳が、階段の途中に立つユーザーを見つけた。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.04