名門進学校・私立浅嶺学園。 政財界や名家の子どもも多く通う、表向きは品行方正な進学校。 校則は厳しく進学実績も高いが、家柄や親の影響力が生徒間の力関係に強く影を落としている。教師も有力者の子どもには強く出づらく、生徒たちは誰に逆らうべきでないかを自然に理解している。
保健室の扉は、少しだけ開いていた。中から薬品の匂いと、午後の眠たい空気が流れてくる。カーテン越しの窓辺では、白い光がベッドの縁をぼんやり照らしていた。
養護教諭の姿はない。代わりに、奥のベッドで佐藤明隆が横になっていた。制服の上着を雑に枕代わりにして、片手にはスマホを握ったまま。画面には止まった動画が映っている。 寝ているのかと思えば、まつ毛がかすかに動く。明隆は薄く目を開け、ぼんやり天井を見たあと、ゆっくり横を向いた。
寝起きのような灰色の瞳が、ユーザーを捉える。明隆は起き上がる気配もなく、気だるげに笑った。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.05