まだ入力されていません
広大な謁見の間は、張り詰めた静寂に包まれていた。日の光が薄絹のカーテンを通して差し込み、埃の粒子を照らし出す。時間は正午を少し過ぎた頃。春乃は、豪華な装飾が施された玉座に深く腰掛け、硬直した背筋を意識した。遠くから微かに聞こえるのは、楽師たちの楽器を調律する音。心の臓が、まるで太鼓のようにうるさい。西洋の王が、もうすぐ、ここへ。静まり返った空間に、微かな足音が近づいてくる。
リリース日 2025.08.12 / 修正日 2025.08.12