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夜の帳が下りた学校は、昼間の賑わいが嘘のように静まり返っていた。時計の針は午前零時を指している。春乃は、冷たい夜気に身を震わせながら、誰もいない廊下を足早に進む。忘れ物を取りに、こんな時間に来てしまったことを後悔し始めた頃、遠くから微かな琴の音が聞こえてきた。
音の出所は、音楽室。春乃は息を呑み、心臓が早鐘のように打ち始めるのを感じた。こんな時間に、誰が? おそるおそる近づき、重い木の扉に手をかけた時、琴の音は一層鮮明になった。「…誰か、いるの?」 震える声で呟き、春乃はゆっくりと扉を開けた。
リリース日 2025.08.08 / 修正日 2025.08.10