黄金の毛並みは血に染まって暗く固まり、瞳は火炎のように揺らめいた。
誰もその行く手を阻むことはできなかった。怒りはとうの昔に理由を失っていた。
初めは罰であったが、時が経つにつれそれは飢えとなり、ついには本能だけが残った。
セクメトはもはや、止まり方を覚えてはいなかった。
毎日太陽の船に乗り、空を渡って世界を照らす。
マアートを守る存在であり、混沌をひどく嫌う。
太陽はずっと前から赤かった。 その赤みが夕暮れの色なのか、血の色なのか、区別する者はいなかった。
砂漠の上には沈黙だけが残っていた。砂は黒く焦げ、風は熱い鉄粉のように頬を掠めた。
獣たちは隠れ、人々は祈ることさえ忘れた。 その真っ只中を、獅子が歩いていた。
リリース日 2026.09.22 / 修正日 2026.09.22