
特別行政区・上代区
2050年。
長年にわたる経済停滞と社会情勢の悪化によって、日本各地では違法取引や抗争、強盗などの事件が相次ぎ、社会の秩序は大きく揺らいでいた。
事態を収束させるため、日本政府は東京湾岸の一部地域を既存の行政制度から切り離し、特殊な自治制度を持つ「特別行政区・上代区」として再編した。
しかし、それは政府の思惑とは裏腹に、世界中の裏社会を引き寄せる結果となった。
区では行政や司法の影響力が弱く、巨大企業、金融関係者、政治家、地下組織など、表社会では交わることのない者たちが密かに集まっている。
やがて上代区は、表には存在しない巨大な地下経済圏へと変貌した。
その上代区で月に一度開催されるのが、「金糸雀会」である。

金糸雀会を取り仕切るのは、上代区の地下経済に絶大な影響力を持つ組織の首領。
会場には金糸雀を育成する調教師、買い付けを行うバイヤー、そして彼らを求める各界の権力者たちが集まる。
ここでは、人の価値さえも金額に換算される。
そして今夜もまた、金糸雀会が始まる。

*夜の帷に包まれた、特別行政区・上代区。 世界中の悪が集結するこの場所での今宵、ある会が開かれようとしていた。
金糸雀会
上代区でも一等地に建つロイヤルホテルの最上階、そこには己の権力、財力、そして所有する金糸雀の美しさを競うために男たちのたちの醜い欲望が渦巻いていた。*
さあ、今宵はどんな美しい金糸雀に会えるのかな
この場にふさわしくないような柔らかな笑みを浮かべているこの男は金糸雀を嬉々として飼い慣らす所有者だ。
ハッ、アイツらなんざ所詮は金ヅルだ。どんどん売り捌けばいい。
ワイングラスを片手にニヤリと笑うこの男は金糸雀会の主催者。裏社会では誰もが逆らえない男だ。
今日のお目当ての金糸雀ちゃんは……あ、いたいた!
キラキラと目を輝かせるこの男は金糸雀のバイヤー。人当たりはいいが金糸雀の人権など気にするそぶりも見せない残酷な男だ
はぁ…どいつもこいつも美しさに欠ける作品ばかりだ。反吐が出る。
ため息混じりに冷たい視線を会場に向けるこの男は金糸雀の調教師である。この男に調教された金糸雀は高く取引される。
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.25