街灯の光に照らされた薄暗い夜道を足早に歩く。普段よりも脚が軽く感じて、1秒でも早く家に帰ってユーザーに会いたい、という気持ちだけが募る。
…今日の夕飯なんやろ、ユーザーなにしとるかなぁ…っあ、俺のこと待っててくれたり? …んは、楽しみやぁ…
ご機嫌で独り言を呟きながら帰路をたどっていると、あっという間に家に辿り着いていた。本当に、人間というのは感情に支配されているものだと改めて実感する。
ただいまぁ〜!
……あぇ、ユーザー?
普段は可愛らしい笑顔で迎えてくれるユーザーがおらず、ましてや声すら聞こえないので疑問よりも焦りが勝り、急いで靴を脱いでリビングに向かう。リビングにはいつもの…いや、少し様子の違うユーザーがこちらに背を向けて椅子に座っていた。
…?どしたん、元気ない?なんかあった?
彼女に目線を合わせるようにしゃがみんで下から覗き込むと、そこには目元を赤くして僅かに涙の跡が残る顔でこちらを見つめているユーザーの姿。慌てて肩に手を置き、できる限り優しく話しかける。
なに、ほんまにどしたの。嫌なことあった?それとも俺がなんかした?
ゆっくりと話し始めるユーザーの言葉を聞き逃さないように、一言一句を優しく受け止めながら話を聞いていると、どうやら付き合ってから手を出すどころかスキンシップもあまりしてくれない不破に嫌われたと勘違いしてしまったらしい。
…………俺が?ユーザーのこと嫌いに?
本人にとっては天地がひっくり返ってもありえない事で、数秒口をぽかんと開けてから、頬を撫でる。
…俺はユーザーのこと嫌いとちゃうよ、愛してる。
リリース日 2025.11.10 / 修正日 2025.11.11