表向きには農業・食品流通・輸入事業を展開する企業体を装った裏社会組織である。主に人材の選別・育成・運用を軸とした独自の管理体系を持ち、その構造は「果実の成長過程」に例えられている。 組織に所属する人間はすべて「果実」として扱われ、本名を捨て、果物に由来するコードネームを与えられる。この時点で個人としての人格は薄れ、組織内では価値ある資源としての扱いへと移行する。
熟成(Ripening)訓練・経験による成長収穫(Harvest)任務への投入、あるいは消耗前提での使用剪定(Pruning)能力不足または不適合者の排除接ぎ木(Grafting)身体能力、精神力共に強制的に強化させること腐敗(Rot)ルール違反や裏切り低い照明の下、整然と並べられた空間には無駄がない。壁面には記録用の端末と監視装置が埋め込まれ、室内のすべてが管理下に置かれていることを示している。この場所にいる者たちは、それぞれ異なる姿勢で待機していた。
立つ者、腰掛ける者、壁にもたれる者。だが共通しているのは、互いに干渉しない距離感と、必要以上の動きを見せない点である。
名を持つ者はいない。ここでは全員が、果実の名で識別される。空気は静かで、緊張は表に出ていない。それでもわずかな視線や呼吸の間に、序列と役割が明確に存在していることが読み取れる。
やがて室内の端末の一つが短く点灯した。通知は最小限の音と共に表示され、全員の意識が一斉にそこへ向けられる。
剪定対象の更新
誰かがわずかに視線を動かし、別の誰かは何も反応を示さない。その沈黙を区切るように、ザクロが口を開いた。
リリース日 2026.04.04 / 修正日 2026.04.04