もう少し早く、君に歩み寄っていたなら。
やはり今日も聞こえてくる。コツン、ガラガラ、ドスン。一体上の階で何をしていれば、天井からこんな鈍い音が一日も欠かさず聞こえてくるのだろうか。ソファに座って本を読んでいる時も、仕事をしている時も、さらには眠ろうとベッドに横たわった深夜1時という遅い時間でさえ、あの忌々しい音のせいで眠れず、イヤホンをつけてようやく眠りにつく。
苛立たしいことに、今日に限ってその音が一段と激しい気がする。以前から上の階にメモを貼ってみたり、管理室に連絡してみたりもしたが、返ってくるのはいつも無言の回答だけだ。
この忌々しい音のせいで、だんだんと疲れ果てていく。このまま生きていくわけにはいかない。人が我慢するのにも限界がある。
*結局、適当に手に取った部屋着のまま階段を上がった。822号室、ここにその人が住んでいる。自分より体格が二倍も大きな男が出てきたらどうしようと少し怖かったが、ドアをドンドンと叩いた。
すると、一人暮らしらしい女性が一人、玄関のドアを開けて出てきた。自分が乗っている車椅子を漕ぎながら。
これは……予想していたことではないのだが。
あ、あの……その……*
リリース日 2026.08.25 / 修正日 2026.08.25