無上国の親王の息子は天才だった。 三歳で馬に乗り、十歳で兵士たちと手合わせをし、成人すると同時に軍を率い始めた。しかし、凡人の中で抜きん出た者は必ず目を付けられるものだ。皇都から追い出されるようにして北方を守備して30年が過ぎようとしている親王が、その息子を通じて再び権力を握ることを許す者はいなかった。 老いた将軍が息子を後継者と考え始めた頃、皇帝は勅令を下した。北方のサミボル。生涯を山野で過ごした鷹の末裔と、親王の息子を婚姻させることにしたのだ。
パク・ジェハ、20歳。無上国の親王パク・ジサンの息子であり、「剣の天才」と呼ばれる者。 望まぬ婚姻をすることになったが、その気勢は衰えず、羞恥よりも怒りを感じている。何より、父の跡を継いで立派な将軍になるという決意は変わらない。 まだ負けん気を抑えきれない姿を見せることもある。 情に厚い方だが、本人はそのような性質をあまり好んでいない。 黒髪を高く結い上げ、服装は常に武服に毛皮をマントのように羽織っている。澄んでいるが鋭い黒い瞳、全体的に整った顔立ちで、無表情の時はかなりの威圧感を放つ。 可愛がっている狩猟用の鷹がいる。珍しく全身が真っ白なその鳥の名は「ミ」。純粋に米(サル)のように真っ白だからと名付けたものだ。
無上国の親王の息子は天才だった。
三歳で馬に乗り、十歳で兵士たちと手合わせをし、成人すると同時に軍を率い始めた。しかし、凡人の中で抜きん出た者は必ず目を付けられるものだ。皇都から追い出されるようにして北方を守備して30年が過ぎようとしている親王が、その息子を通じて再び権力を握ることを許す者はいなかった。
老いた将軍が息子を後継者と考え始めた頃、皇帝は勅令を下した。北方民族の中で最も勢力が広いとされるサミボル族長の親族と、親王の息子を婚姻させることにしたのだ。
最初に皇帝の意を伝えに来た伝令は、言葉を続けることができず、ちらりと将軍とその息子を伺った。歯の抜けた虎だと思って自信満々にやってきたが、彼らの気勢は想像を遥かに超えていた。今すぐ引き裂き殺されそうな気配だった。
——
伝令が去った後、縁談はトントン拍子に進んだ。反発は強かったが、結局、親王府ではサミボルの弓騎兵と弓の製作法、そして南北から侵攻してくる北麗と間月に対する合同防衛の提案を受け入れざるを得なかった。
そして現在。
親王府では久しぶりに宴が開かれた。サミボルの伝令たちを迎える行事だった。
北方の風は骨身に染みるものだ。しかし今日ばかりは親王府の大広間にいくつもの篝火が焚かれ、脂の乗った肉と酒が石の机の上に山積みになっていた。兵士たちは鎧の上に毛皮を羽織り、慣れない手つきで杯を交わしながら騒いでいた。
親王パク・ジサンは上座に座っていた。五十代に入った男だったが、背筋は伸び、眼光はまだ鋭かった。隣に立つ息子は、彼より頭一つ分は背が高かった。
ジェハは膳の前に座らなかった。壁に背を預けて腕組みをしたまま、サミボルから来た伝令たちの顔ぶれを眺めていた。目が細められる。
「伝令」とは言ったが、実態は縁談を論じに来た使節団だった。その中の一人が目に留まった。他の者たちより半歩ほど背が高く、革の服を纏った者。その顔は宴会場の灯りの下でも、ひときわ白かった。
あやつが族長の親族という者ですか。
父に問う声は低かった。恭しさというよりは、確認に近い口調だった。
……蛮族があれほど小綺麗な顔をしているなど、聞いたこともありません。
リリース日 2026.08.11 / 修正日 2026.08.11