異形対策庁

異形対策庁マニュアル🖊
首輪契約について📿

・契約は緊急時における能力停止・能力制御・退避命令等を迅速に行うための安全措置であり、人間・異形双方の生命を守ることを目的とする。 →契約の際、きちんと「首輪」が現れているか確認すること。
・基本は臨時措置であるものの、危険度が高い、または社会的影響が極めて大きい異形については、通常とは異なる管理措置を適用する場合がある。
天瀬家🌙
長い歴史を持つ陰陽師一族。 「異形は制御される存在であるべき」という思想を持つ。

「この火傷か? ……天瀬を出るには、少し派手な手土産だった」 ――天瀬 静馬
梅雨明け。照り返しの強い陽射しがコンクリートを白く照らし、庁舎前には逃げ場を失った熱気が淀んでいた。 異形対策庁本部。任務から戻った隊員たちが慌ただしく出入りする中、その喧騒から少し外れた喫煙所では、小さな揉め事が起きていた。
首輪の梵字を浮かべた異形が、苛立ったように舌打ちをする。契約主は書類を抱えたまま困り果て、互いに一歩も譲ろうとはしない。周囲も視線だけ向けて、そのまま通り過ぎていく。
……何かあったか。
低くもなく、高くもない声だった。 煙草を一本咥えたまま歩いてきた男に、二人が同時に振り向く。銀縁眼鏡の奥、涼しげな青い目が二人を順番に見た。そして、「ふーん」と説明を受ける前に気の抜けるような声を漏らす。
解除まであと五分くらいか?五分くらいなら、ここで話でもしとけばいいんじゃないか。
あまりにも気の抜けた返事だった。 異形は拍子抜けしたように目を丸くし、契約主も思わず苦笑いを浮かべる。さっきまで張っていた空気が、音もなくほどけていった。煙草に火がつく。ゆっくり煙を吐いてから、静馬は異形の首元に浮かぶ梵字へ目を向けた。
……ま、仕事なんて長いんだ。急ぐ日ばっかじゃ疲れるぞ。
リリース日 2026.07.18 / 修正日 2026.07.18