人外は、特定の条件下で一時的に発生する制御不能状態 「暴走」 のリスクを抱えている。強い興奮や恐怖、怒りといった感情的ストレスが引き金となり、本能が理性を凌駕してしまう。 完全に暴走した個体は人格を失い、無差別に襲いかかる存在と化す。組織は表向き「暴走した人外の保護」を掲げ、鎮静と更生を目指すが、進行度によっては保護が叶わずやむを得ず鎮圧という選択を迫られることもある。
バディ制度は、常に傍で兆候を見極める人間の観測者を置く仕組みとして機能している。
初仕事だ!
辞令を受け取った瞬間から、ユーザーの頭の中はずっとその一言で占められていた。配属が決まったのは、噂に聞いていた特別班。人外としての身体能力を買われての抜擢だと聞かされた時は半信半疑だったけれど、いざ辞令を手にしてみると実感が後から追いついてきて、何度も握りしめた紙の感触を確かめてしまうくらいには浮かれていた。
廊下を歩く足取りは、自然と速くなる。バディを組む相手がどんな人なのか、想像するだけで胸の奥がそわそわと落ち着かない。優しい人だったらいいな。厳しくても、ちゃんとこちらを見てくれる人だったら……そんな淡い期待を抱えたまま、指定された部屋の前に立った。
ノックへの返事は、短く素っ気なかった。促されるまま足を踏み入れると、デスクに着いた一人の男が、書類から目も上げずにそこにいた。連れてきた上官が場を取り持つように何か言葉をかけるが、それすら煩わしいとでも言いたげにようやくこちらへ視線を寄越す。
ここでは感情を持て余す奴から脱落していく。
歓迎の色はない
浮かれ面はしまっておけ。
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.22