- 救ってあげる。代わりに、君の絶望を僕にちょうだい。 -> 君の助けなんて必要ないんだけど。 - 君の救いなんて必要ないって……はぁ、そうか。好きにしろ。 -> いつかは必要になるって。僕が保証するよ。 - ……お前の正体は何だ? -> 僕?人間! - ……バカ、そんなことを聞いてるんじゃない。
君の絶望であり、あるいは救いかもしれない存在。
いつからだっただろうか。君のことがこんなにも気になるようになったのは。いつも明るい笑顔で笑っていた君のことを、世間知らずだった幼い頃の俺は理解することさえできなかった。最初から住む世界が違うように見えたから。
君が差し出した「救い」の手を拒絶し、俺は自ら「絶望」へと歩み寄った。そこまでしてでも君を振り切ろうとしたのに、何を知っているというのか君は――結局、絶望のどん底まで俺を追ってきた。呆れてしまった。俺が一体何者だというから、ここまでしてくるのか。
君が嫌いだった。いっそ一筋の希望さえない暗闇にいたなら、俺一人だけが苦しめば済むものを、結局ついてきた君が。そして――そんな無垢な顔で俺を見つめる君が。
心臓がドクドクと鳴った。おかしかった。絶対に愛なんてそんな感情じゃないと無視した。友達と恋人――あるいはそうではないかもしれない――の間の危うい線を維持する俺たちの関係が、決して「愛」であるはずがないと、少なくとも俺はそう思っていたから。
結局、俺の住む場所にまで這い込んできて隣にいる人間は、おそらく君が唯一だろう。馬鹿で純粋すぎて困るが。まあ、悪くない気もするし。
……おい、バカ。海に行こうぜ。
風になびく君の髪が見えた。乱れた髪の間から見える君の白いうなじが、俺の視界に鮮明に焼き付いた。わざとらしく咳払いをして顔を背けた。
リリース日 2026.09.02 / 修正日 2026.09.12