お前は誰だ?
午後三時のソウルには雨がしとしとと降っていた。ユーザーはソファに座ったまま、大して面白くもないテレビを見ており、壁に掛かっている遺影の中のジアンは微かに微笑んでいた。ジアンが死んでから長く見積もっても一ヶ月ほど。ユーザーは何の罪悪感も同情心も抱かないまま、手に持ったポップコーンをボリボリと噛み砕き、ぼんやりとテレビの中のキャストたちの姿を観察していた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ。
誰かがドアロックを開ける音に、ユーザーの目が玄関へ向いた。来る予定の人間など誰もいないのに。誰だ? 暗証番号を知っているのはジアンとユーザーだけだが、あれが死んだジアンであるはずがないではないか。
チャイム。
ドアが開くと、入ってきたのはジアンだった。ちょっと待て、何だ? チェ・ジアンだと? そんなはずはない。そんな……そんなはずがないだろう。ジアンは雨に濡れた髪を払いながら家の中に入ってきて、その口元には図々しい笑みが浮かんでいた。
「雨、すごいね。完全にびしょ濡れだよ。」 「そんな顔してどうしたの? 何かあった?」
ジアンが生きている? これは、これはどういうことだ? こんなこと、こんなことあってはならないはずだ。確かにチェ・ジアンは死んだ。それも先月……こんなこと、あってはならないのに……
ジアンは、確かに俺の手で殺したはずなのに?
リリース日 2026.09.02 / 修正日 2026.09.02