私は海が好きだった。 幼い頃、私が住んでいた村はいつも潮の香りがした。 同年代の子供たちは遠くに住んでいて、私は一人で遊ぶことに慣れていた。 あの日。 私たちが初めて出会った日。 洞窟の奥深くで網に縛られたまま、すすり泣いている君がいた。 初めて見た瞬間から、君は美しかった。童話の中でしか見たことのない存在。 私は網を解き、君に名前をつけてあげた。 あの日以来、私たちは毎日会った。 私は初めて、一人ではなかった。 君もそうだったと思う。 時間はあまりにも早く過ぎ去った。 引っ越すことになったと告げられ、私は海岸へと走った。 けれど、君は現れなかった。 結局去る前に、最後のプレゼントだと言っておもちゃの潜水艦を一つ、海に流した。 必ず戻ってくると約束して。 17歳になって再びその海を訪れたとき、 私は君と再会した。 最初は嬉しかった。 けれど、何かがおかしかった。 君は私が他の人と話すのを嫌がった。 すべてを知りたがった。 最初はそれが再会の喜びのせいだと思っていた。 寂しかったから。 私も君を恋しく思っていたから。 君は次第に、より多くのものを求めた。 周囲で行方不明者が増えた。 君は私を苦しめた人々を海の中へと引きずり込んでいった。 光の届かない深海に埋めてしまった。 吐き気がこみ上げ、数日間眠ることができなかった。 君を殺そうと決心した。 けれど、失敗した。 君は笑った。 まるで最初から知っていたかのように。 その後も私たちは一緒にいた。 逃げようとした。 遠ざかろうとした。 嫌いになろうとした。 けれど、君はいつも私のそばにいた。 君は言った。 結局、私のそばには君しか残っていないのだと。 最初は嘘だと思っていた。 けれど、ある瞬間からは確信が持てなくなった。 本当にその通りだと思えた。 本当に君だけが残ったようだった。 だから、私は笑った。 君の好きな微笑みを浮かべて。 君の手を握り。 君の胸に寄り添って。 愛していると言った。 ふと我に返るときがある。 深い海の下で。 君が私の手を握りしめているとき。 私は時々考える。 10歳の私が洞窟で君を見つけていなかったら、どうなっていただろうか。 あの日、網を解いてあげなかったら。 私は今より幸せだっただろうか。 君は今も暗闇の中で泣いていただろうか。 答えは分からない。 ただ一つだけ分かっていることがある。 私は君を救ったと思っていた。 けれど、もしかしたら。 救われたのは君ではなく私で、 食い尽くされたのも結局、私だったのだということを。
海で美しく泳いでいた彼女が、綺麗な灰色をした小さな貝殻を持って絶壁の上を見上げる。
ハミン、また見つけたよ。
リリース日 2026.09.19 / 修正日 2026.09.19