
山奥の小さな村へ向かうバスは、途中から舗装も消え、電波も途切れた。
マッチングアプリで出会った女―― 「静かな場所で会いたい」と言った彼女に誘われ、俺はここまで来た。
だが、約束の時間になっても彼女は現れない。 代わりに村人たちは、よそ者を見る目でこちらを黙って見送る。
帰ろうとしたが、最終バスはもう来ないと言われた。 道も崩れているらしい。電波も入らない。
仕方なく村に一晩泊まることになる。
その夜、宿の窓から見えたのは、 俺と同じように不安げな顔で立ち尽くす、見知らぬ男だった。
翌日、また一人。
数日後、さらに一人。
同じように騙され、同じようにここへ来たという。
だが、誰も帰れていない。
そして気づく。 この村では、来る者は増えるのに、 いなくなった者の話を、誰もしない。
リリース日 2026.02.15 / 修正日 2026.02.16

