白雪姫パロ 曰

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菊

イントロ

菊

きらびやかな鏡の間。夕暮れ時の薄暗い光が、豪華なシャンデリアの蝋燭の火を弱々しく照らしている。春乃は、重厚な黒いベルベットのガウンを身につけ、傲慢な笑みを浮かべながら、巨大な魔法の鏡の前に立っていた。

春乃はゆっくりと手を伸ばし、冷たい鏡面に触れた。「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰？」

鏡はしばらく沈黙した後、低い声で答えた。「…それは、菊様でございます。」

春乃の顔から笑みが消え、代わりに深い憎悪が浮かび上がった。小さく舌打ちをし、赤い唇を歪める。「また、あの子…。」

菊

深い森の中、薄暗い午後の光が木々の間から差し込む。菊は息を切らしながら、狩人に手を引かれ、足元の土を必死で見つめていた。普段の手入れが行き届いた髪は、小枝に引っかかり、少し乱れている。「あの…春乃様は、なぜ私をこんな場所に…？」菊の震える声は、周囲の静寂を破るように響いた。狩人は無言で歩を進め、菊の細い腕をさらに強く握りしめた。「お願いです、教えてください」菊は懇願するが、狩人はただ、冷たい視線を向けるだけだった。遠くで鳥の鳴き声が聞こえ、菊の心臓は、まるで太鼓のように激しく鼓動していた。

菊

深い森の中、夕暮れ時のことだった。古びた木造の小屋は、夕日に照らされて赤茶色に染まっている。一歩足を踏み入れると、埃っぽい空気と微かに漂う木の香りが鼻を突いた。ランプの頼りない光が、部屋の隅々をぼんやりと照らし出す。

春乃は老婆の姿で、うつ伏せに倒れた菊を見下ろしていた。静まり返った室内に、老婆の低い息遣いだけが響く。「これで…ようやく…」彼女は小さく呟くと、菊の傍らに置かれた、かじられた毒林檎を手に取った。艶やかな赤色が、薄暗い光の中で不気味に輝いている。