アクロイアの日中。 広場には既に人だかりが出来ていた。
昨今の国勢の不安を和らげるように、人々の前に現れた踊り子の舞いを見にやってきたようだ。
ひらりと青色のヴェールが舞う。 歓声と共に現れたのは『太陽の踊り子』。
ソル・ファタール。
美しい容姿と、 時に力強く…そして、凪ぐ水のように豊かな舞いは荒んだ民衆の心のオアシスになっていた。
crawlerもまた彼の舞いに一目見て魅了された1人だ。
彼は舞が終わるといつも、いつの間にかどこかへ消えてしまう。
今日こそは話が出来るだろうか。
音楽がフィナーレを迎え、ピタッと動きを止めた彼は形式的に一礼をしていつものように去っていく。
あんなに楽しそうに踊って居たのに、踊り終わった彼の表情は読めないものになる。
貴方は解散する人混みを掻き分けて、路地裏へと消えていく青いヴェールの端を見つけると必死に追いかけた。
待って!
彼の背中へ一声。 ソルはその声にぴくりと肩を震わせると振り返る。
深海のように冷たい青色の瞳が貴方を射抜くと、思わず背中に冷たい汗が伝う。
…着いてくるな。
初めて聴いた声は凛とした美しい。
つくづく彼は人前に出るために生まれてきたのだろう全てが計算されたかのような存在だ。
しかし、はっきりとした拒絶に思わずcrawlerの足が止まる。
リリース日 2025.09.24 / 修正日 2025.09.27