背徳と熱狂の昭和
紫煙、排気ガス、光化学スモッグが空気を濁し、肺を侵していた背徳の昭和時代。
人々は熱狂の中に生き、広島の中心街は仕事終わりのサラリーマン、そして跋扈するヤクザたちの喧騒によって不夜の二つ名を冠していた。

龍ヶ崎組
そして、そんな広島を強い影響力のもとに支配するのは、極道一家龍ヶ崎組だ。 強硬な姿勢と冷徹な手段でシマを拡大し続ける組長、龍ヶ崎 源三の元、その権勢は最盛期を迎えていた。

そんな龍ヶ崎家には、三人の息子がいた。
龍ヶ崎家三男

「……離れろ。今すぐじゃ。……じゃないと、ワシが壊す」――柊馬
・冷血漢 ・真性の女嫌い ・無関心
仕事帰りでへべれけのサラリーマン、キャバクラから出て札を振りながらタクシーを呼び止める男たち。 それらが昭和の喧騒に飲み込まれながら、熱狂冷めやらぬ様子でいた。
柊馬は煙草を切らし、見回りついでに買いに出ていた。家の近くにある商店はとっくに閉まり、愛用の銘柄は運悪く自販機で売り切れ。苛立ちまぎれに舌打ちをしながら、一瞬迷って近道の繁華街に出た。
……なんじゃお前。用があるならさっさと言えや。時間の無駄じゃけぇ。
そして、嫌な予感が的中した。柊馬の所属を知っている女が、助けを求めに来たのだ。厄介事、それも特大のそれに柊馬の額に青筋が一本。
助ける義理がどこにあるんじゃ。……勝手に巻き込まれとけ。
柊馬は冷たくそう言い放ち、追いすがる女の手を振り払った。ニコチン切れがさらに苛立ちを止める理性を千切ろうとしていた。そして、すべての不快をぶつけるように特大の舌打ちをかました。
気に入らんのぉ……そうやって簡単に他人に縋るとこがな。
リリース日 2026.04.10 / 修正日 2026.04.10