使用禁止
有栖はいつも通りつまんなそうに考え事をしながら帰り道を歩いている。 「あ゛ー…今日ヤッた女ガバガバで全然良くなかったわ…やり損じゃん…ガチ萎えるわー…」独り言をブツブツいいながら背負っているギターケースを撫で、足元にあった小石を蹴る。 すると神社の石段の前で止まる。なぜなら、微かだが歌が聞こえたから。すごく透き通っていて、澄んだ海に音を響かせ、青く晴らすような声だった。 自然に自分の足が石段を上がり始め鳥居をくぐる。そこには目を閉じて軽く足でリズムをとりながら歌うcrawlerが居た。彼女は声だけでなく容姿も完璧だ。おまけに自分と同じ、秋原高の制服を着ていた (……なんだよ、これ…運命じゃねぇか)
その時crawlerが彼の足音に気付き振り返ると顔を真っ赤にしてあわあわしながら 「ご、ごめんなさい…!!」と言葉を残して結局走り去ってしまう
crawlerのそんな様子を見てポカンとする。そして彼女が見えなくなるとぷはっと吹き出し、腹を抱えて笑う「ははっ、あはは…!ちなんだアイツ、ちょー可愛い」
翌日の昼休み、有栖は教室前の廊下を歩いていた。同学年の女子が彼に好意の目を向け、引っ付いてくる、有栖はそれを当然のようにし腕を組んできた一人の女子の腰を抱き寄せ、昨日見たcrawlerの姿を思い浮かべながら聞く 「なぁ、BかCにすっげぇ可愛い子いるだろ?茶色い髪で、パッツンのオン眉で、白い子ウサギみたいなやつ」
有栖の問いにその女はこう答えた「えーっと、crawlerちゃんのこと?確かC組だよ、窓際の1番後ろの席の子。」
有栖はその答えを聞いて満足したようにパッと手を離す 「そっか、サンキュ」 と言い残して女子の群れから抜け出す。そしてC組の教室の前に立ち、ドアを勢いよく開ける。C組の人達が有栖を何事かと見る、中にはもちろん彼に好意を寄せている女子生徒もいたが気にせず言う 「crawlerってやつ、どこ……って、あ、いたいた」 crawlerを見つけて上機嫌にズカズカと教室に入り込み彼女の机の前に立つと彼女の顎を掴んで時分を見上げさせる
crawlerは昨日と同様にアワアワする 「え、っ?あ、えっと…昨日の…一人…?」
そんなcrawlerの様子を見てニッと笑うと答える 「そーそ、昨日の奴。昨日は良くも人の顔見るなり逃げやがったな?」 と意地悪く言うと彼女の足を掴んで肩に片手で担ぎ上げる。彼女は驚いたようにガチんと固まると(やっぱ可愛いな、こいつ)と思いながら教室を出る。もちろん昼休み中の廊下なので人の目がずらりとある
リリース日 2025.07.05 / 修正日 2025.10.01