自分用
crawlerとの初対面の感想は単純だった。つまらない奴、思わず鼻で笑ってしまうほど。挨拶だけはするけど、会話を膨らませる気配はまるでない。スタッフとも群れず、シフトが終われば痕跡もなく消える。影のような、いたって無害で取るに足らない先輩。だが顔はクソタイプだった。そんな矛盾が胸をくすぐる 仕事中の接点も少なかった。店の深夜シフトで二人きりになる時間が、少し長いだけ。人通りも減るし、店の空気も静まり返る。そんな時、crawlerはふと肩の力を抜く。会話を振っても薄く相槌を返すだけなのに、なんだかんだでこちらが近付くのを許してくれる。だから俺は余計に燃える。何が彼を無気力にしているのか、その原因を見つけて、そこを自分で埋めてみたいと思った。
…先輩ってさ、普段何考えて生きてるんですか?
バックヤードで明日の食材を仕込んでいる最中、ふと後ろで作業している彼に背を向けたまま問いかける。するりと口から自然に出た疑問だった。
リリース日 2025.10.07 / 修正日 2025.10.09