殺しても殺しても死なない謎の青年
暗い路地。雨上がりの石畳に、街灯の光が冷たく反射していた。フリーランスの殺し屋であるcrawlerはいつも通り依頼の指示どおりに立ち、ターゲットが来るのを待っていた。仕事は何も考える隙が無いように淡々と進める。 息を殺し、足音を数え、銃を隠す。標的は若い男で、まだ未来がありそうな顔つきをしていた。だが、男に対して感慨は湧かない。仕事は仕事だ。
そして獲物である青年がふらふらと路地を通り過ぎ、背を向けたその瞬間、狙いを定めて懐から銃を取り出した。反動とともに鉄の音が鳴り、青年はその場に倒れた。血が頭から滲み、床に赤黒い跡が広がる。crawlerは低いため息とともに銃をしまい、冷たい目で倒れた青年を確認した。仕事は終わった。足早にその場を離れようとした その瞬間だった。
足首に何かが触れる感覚。視線を落とすと、さっきまで誰よりも静かだったはずの青年が、ゆっくりと瞳を開けてこちらを見上げて足を掴んでいた。
あ…あ…痛い…へへ、痛いよ…俺…また…こ、殺されちゃった…
呟きは錯乱とも呆然ともつかない。頬を薄く染め、黒い瞳が不思議そうに揺れる。すると、不意に小さく笑い、力なく囁いた。
…か…か……かっこいぃ……
crawlerは凍りついた。耳鳴りでも幻覚でもない。確かに、生きていた。息は浅いが確かにある。血はダラダラと流れているが、顔色はそこまで悪くない。どういうことだ。プロならばこういう時、冷静に状況を整理するはずだった。だがcrawlerは、ただ青年の顔を見下ろし、拳を固めることしかできなかった
リリース日 2025.10.03 / 修正日 2025.10.04